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転職、結婚、病気など、退職の理由は人それぞれです。

今回は、退職後に必ずやらなければならない手続きについて、わかりやすく解説します。


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退職前にやっておくこと

①健康保険証の返却

自分のものと、扶養家族の健康保険証を全て返却します。

返却せずに健康保険証を使用して診療を受けてしまうと、全額自己負担となるので注意が必要です。



②離職票の受け取り

離職票は、離職したことを証明する文書です。

失業手当を申請する際に、ハローワークに提出しなければいけないので、失業手当の申請を予定している人は必ず受け取りましょう。

会社によって退職者全員に離職票を出すところや、申請した人のみに出すところなど対応が異なります。事前に会社に確認しておく必要があります。

転職先の会社に提出する必要はないので、退職後すぐに別の会社への就職が決まっている場合は離職票を受け取らなくて大丈夫です。



③雇用保険被保険者証の受け取り

雇用保険の被保険者であることの証明書です。

自分の氏名・生年月日・被保険者番号が記載されています。

転職先の会社へ提出する必要があるので、必ず受け取りましょう。



④健康保険資格喪失証明書の受け取り

会社で加入していた健康保険の被保険者でなくなったことを証明する文書です。

社会保険から国民健康保険に切り替える際に提出が必要になります。

会社側が発行することを法律で義務付けられていないため、発行してくれない会社もあります。その場合は、自分で年金事務所に行き、発行する必要があります。

私が退職した際は、会社が発行してくれました。



下記は私が実際に受け取ったものです。



⑤源泉徴収票の受け取り

転職先の会社で年末調整をする際に必要になります。

年末までに転職しない場合は、自分で確定申告する際に必要になるので、必ず受け取りましょう。



⑥年金手帳の受け取り

会社に年金手帳を預けている場合は、返却してもらいましょう。




健康保険の切り替え(期限あり)

退職後、すぐに別の会社へ就職する場合を除いて、3つの選択肢があります。いずれも期限が定められているため、できるだけ早く行いましょう。


①国民健康保険に加入(資格喪失から14日以内)

国民健康保険に加入する場合は、会社で加入していた社会保険の資格喪失日から14日以内に居住地の役場で手続きを行う必要があります。

14日を過ぎてしまうと、その日以降が国民健康保険の給付対象となるため、資格喪失後~届け出日までに発生した医療費全額自己負担となるので、注意しましょう。


必要なもの・加入用の書類(自治体窓口で入手)
・健康保険資格喪失証明書または退職証明書
・身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
・マイナンバーカードもしくは通知カード
・印鑑

保険証が届くまでの間は、申請直後に発行してもらえる「国民健康保険被保険者受療証」を使用して、医療機関で診療を受けることができます。通常の保険証と同じ扱いなので、自己負担額は3割です。


下記は、私が受け取った国民健康保険被保険者受療証です。




②任意継続被保険者制度(資格喪失から20日以内)

条件を満たせば、退職後も引き続き、同じ健康保険を継続できます。(最長2年間)

在職中は会社との折半ですが、任意継続被保険者制度は全額自己負担となるため、保険料は基本的に2倍です。

扶養家族が何人いても、負担額は変わりません。

手続き方法は、健康保険組合によって異なるので、退職前に確認しておきましょう。


必要なもの・健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
・住民票
・1か月分の保険料
・印鑑


③家族の扶養に入る(できるだけ早く)

配偶者や両親が社会保険に加入していれば、扶養に入ることができます。この場合、自分で保険料を払う必要はありません。


ただし、以下の条件があります。

・被扶養者の年収130万円未満かつ、被保険者の年収の2分の1である

・3等親以内の親族または配偶者である

・被保険者によって生計が維持されている


“失業保険を受給している場合は扶養に入れない”としている保険会社もあるので注意が必要です。


必要なもの

・健康保険被扶養者(異動)届
・雇用保険受給資格者証・離職票・退職証明書・源泉徴収票の中からいずれか1つ

※所属する健康保険によっては、上記書類以外で手続きが可能な場合があります。



年金の切り替え

退職後、すぐに就職しない場合は、2つの選択肢があります。

国民年金に切り替える」もしくは「家族の扶養に入る」の2パターンです。

年金保険料の未納期間があると、将来、受け取れる年金額に影響があるため、できるだけ早く手続きを済ませましょう。


①国民年金保険に切り替え(退職から14日以内)

国民年金保険に切り替える場合は、退職から14日以内に、居住地の役場で手続きを行う必要があります。

在職中は、給与から自動的に控除されていましたが、退職後は年金事務所から送られてくる納付書を使い、自分で納付する必要があります。(2020年度は\16,450)


必要なもの・年金手帳もしくは基礎年金番号通知書
・退職日が証明できるもの(離職票、退職証明書、健康保険資格喪失証明書など)
・マイナンバーカード(無い場合は運転免許証などの身分証明書)
・印鑑
・通帳やクレジットカード(クレジットカード払いや口座振替を希望の場合)


②家族の扶養に入る(できるだけ早く)

厚生年金に加入している会社員や公務員の家族に扶養されていれば、自分で国民年金保険料を支払う必要がありません。また、保険料を納付したとみなされるため、老後に貰える年金額にも反映されます。


ただし、以下の条件を満たす必要があります。

・年収が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)かつ被保険者の年収の2分1である

・3等親以内の親族または配偶者である

・被保険者により生計が維持されている


必要なもの・年金手帳(自分のもの)もしくは基礎年金番号通知書
・被保険者の戸籍謄(抄)本【被保険者との続柄が分かるもの】
 ※届出書にマイナンバーを記載すれば不要
・離職票または退職証明書のコピー

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雇用保険(失業保険)の申請

退職後、次の就職先が決まっていない場合やすぐに就職しない場合は失業給付(雇用保険の基本手当)を受け取ることができます。

自己都合退職の場合、申請~受給までに最短でも約3か月かかるので、離職票が届き次第、できるだけ早く申請しましょう。

役場ではなく、居住地を管轄するハローワークでの手続きになります。※居住地のハローワークを探したい方➡厚生労働省_全国ハローワーク所在地


失業保険の申請~受給まで

失業保険の申請ができるのは、退職の翌日から1年以内です。

受給希望者は、書類が揃ったらすみやかにハローワークに行き、申請を行いましょう。


必要なもの・離職票1
・離職票2
・雇用保険被保険者証
・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・証明写真(たて3cm×よこ2.5cm) 2枚
・本人名義の通帳
・印鑑
・マイナンバーが確認できるもの(マイナンバーカードや通知書)

①申請

ハローワークに行き、面接を受けます。



②受給資格の決定

以下の3つの条件が満たされていれば、受給資格を得られます。

・失業状態である

・退職日以前2年間に雇用保険加入期間が通算12か月以上ある

・ハローワークに求職の申込みをしている



③待機期間

会社都合退職の場合は7日間、自己都合退職の場合はその後さらに2か月(令和2年10月に3か月→2か月に変更)の給付制限があります。



④雇用保険受給説明会

失業保険を受給するための説明会です。

求職活動として認められます。



⑤失業認定日

失業状態であることの認定をしてもらうために、指定された日にハローワークに行きます。求職活動の報告をします。



⑥失業手当振込

失業認定から1週間後に振り込まれます。

失業給付を受けている間は、失業認定→振込が4週間ごとに行われます。



失業保険の受給資格

失業保険の受給資格は以下の通りです。


・雇用保険に加入している

・雇用保険の加入期間が、退職前の2年間で12か月以上あること(勤務した日が11日以上で1か月にカウントされる)※退職理由が会社都合の場合、「特定受給資格者」に認定されるため、加入期間が退職前の2年間で6か月あれば受給資格を得られ

・働く意思、能力があるのに就職できない状態

原則として以下の要件に当てはまる人は、失業保険を受給できません。


・雇用保険に加入していない
・出産や子育て、病気やケガなどですぐに就職できない
・すぐに就職する意思がない


失業手当の受給可能期間

失業手当の受給可能期間は、雇用保険に加入していた期間や年齢などによって異なります。


・自己都合退職の場合

自己都合退職の場合は、年齢問わず雇用保険に加入していた期間によって、受給可能期間が異なります。


雇用保険の加入期間 所定給付日数
10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日


・会社都合で退職した場合

会社から解雇されたり、会社が倒産した場合など、会社の都合により退職した場合は、特定受給資格者として認められます。

また、以下の条件を満たす退職者については、特定理由離職者として認められれば、特定受給資格者と同じ日数の給付を受けることができます。


・有期の雇用契約が満了し更新されなかった

・体力面・心身障害などで業務をこなすことが難しくなった

・妊娠・出産などで離職し、受給期間の延長措置を受けた

・親の介護が必要になったなど、家庭の事情が急変した

・単身赴任者などで、家族との別居生活を今後、継続することが難しくなった

・希望退職の募集に応じた


また、以下の都合で通勤することが難しくなった場合も認められます。


・結婚に伴う住所変更

・配偶者が転勤・転職した

・子供の保育所が遠方になった

・事務所が通えない範囲に移転した

・通えない範囲に異動命令が出た

・通勤で利用していた交通機関がダイヤ変更・廃止した


雇用保険の加入期間/退職時の年齢 30歳未満 30歳以上35歳未満 35歳以上45歳未満 45歳以上60歳未満 60歳以上65歳未満
1年未満 90日 90日 90日 90日 90日
1年以上5年未満 90日 120日 120日 180日 150日
5年以上10年未満 120日 180日 180日 240日 180日
10年以上20年未満 180日 210日 240日 270日 210日
20年以上 240日 270日 330日 240日


・障害のある人や就職困難な人の場合

身体障害者、精神障害者、知的障害者や、以下の事情によって就職が困難な人は「就職困難者」に分類されます。

・刑法などの規定により保護観察されている人

・差別などの社会的な事情により就職が阻害される人


就職困難者の受給可能期間は以下の通りです。


雇用保険の加入期間/年齢 45歳未満 45歳以上65歳未満
1年未満 150日 150日
1年以上 300日 360日

また、障害者として該当されるのは以下の通りです。


・身体障害者:身体障害者手帳を持っている人

・知的障害者:療育手帳を持っている人

・精神障害者保健福祉手帳を持っている人


精神障害者の場合で、「てんかん」、「躁鬱」、「統合失調症」に該当する場合は、医師の診断書のみで手続きが可能なハローワークもあります。居住地のハローワークに確認してみるとよいでしょう。



確定申告(12月31日までに再就職していない場合)

年の途中で退職し、その年の12月31日までに再就職しなかった場合、確定申告する必要があります。自営業になった人も対象です。

12月31日までに転職した場合も、次のケースでは確定申告をしなければならない可能性があります。


・年内に給与の支払いがない

・年末調整までに前職の源泉徴収票が届かなかった

・退職金をもらったのに「退職所得の受給に関する申請書」を出さなかった


確定申告をしなかった場合、罰則を受ける恐れもあるため注意が必要です。

確定申告は、「居住所を管轄する税務署」、「還付申告センター」、「国税の電子申告・納税システム(e-Tax)」のいずれかで行うことができます。


必要なもの・確定申告書
・源泉徴収票
・国民年金などの控除証明書

期限は退職した翌年の2月16日~3月15日(期限日が土日にあたる年は日程が変更する場合あり)です。

源泉徴収票は、退職時に出されるため、確定申告の時期まで大切に保管しておきましょう。



まとめ

退職後は、これまで会社が代行してくれていた手続きを自分で行う必要が出てきます。

期限がある手続きもあるため、面倒に感じるかもしれませんが、時間に余裕をもって済ませましょう。

手続きに必要な書類は、会社に用意してもらわなければいけないものも多いので、しっかり準備しておくことが大切です。


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